効率的に眠るためには・前編: 就寝前にリラックスタイムを

よく眠ることができるかどうかは、安全運転のためにとても重要なことです。しかし、いざ眠る段階になって、よく眠ろう、早く眠ろうと頑張ってもなかなかうまくいかないものです。よく眠るための条件・対策は常識的なことも含めていくつもありますが、ここでは、忙しいと軽視されがちな、「眠る前のリラックス」の重要性について説明します。

良い睡眠には寝る前のリラックスタイムが必要

寝る前にリラックスを、と言われても難しいと感じる方もおられるかもしれません。寝る前からさかのぼって1~2時間のリラックスタイムを確保することが有効です。眠る直前まで緊張したりエキサイトしすぎることをして、すぐ眠ることは生理学的に難しいことがわかっています。たとえば自分は7時間眠ればよいので残りの17時間はめいっぱい仕事をするというのでは、疲労や病気の予防という点で問題があります。

オフに家でくつろぐことができる時間としては少なくとも「十分な睡眠時間+その前の2時間」が必要ということになります。せめて眠る前には、徐々にテンションを下げていくことを習慣にしてみてはいかがでしょうか。

夜になると頭がスッキリしてしまう?

「自分は夜になると目がぱっちり覚めてしまう」という方もいらっしゃると思いますが、そういう方たちのすべてが「夜型」というわけではありません。一般に夕食後の時間帯は比較的頭がすっきりするという人の生理学的特性があるのです。そこでエキサイトしすぎずにリラックスを心がけることで寝つきを改善できるかもしれません。

なお、本コラムNo.007にもありますように、寝る直前の多量の飲酒は(リラックスはするかもしれませんが)翌日に回復する効果は期待できません。

徹夜明けの昼の睡眠

徹夜の作業の後にとても疲れた状態でとる「昼間睡眠」については、強い眠気を感じるうちに少しでも早い時刻に就寝することが回復のためには有効です。昼間なので室温、騒音や明るさなどの寝室環境への配慮が特に必要になります。

 
(次回、後編では、眠りやすい環境についてご紹介します。)
 

image: suzuki kazuya

公益財団法人大原記念労働科学研究所
上級主任研究員
鈴木一弥

これまでの研究テーマ:
運転疲労・眠気対策
人間工学(製造業、医療労働の負担軽減、立位によるデスクワークの有効性)
小型デバイスによる睡眠評価法、小型デバイスによる熱中症予防)

 

連載コラム『点呼でウケる!あんサポ 安全・健康小噺』