寝酒で疲労回復は出来ない?!
毎日大変お疲れのプロドライバーのみなさま、一本飲んでストレス発散!なんて方も多いのではないでしょうか。私も嫌なことがあった日や、とっても疲れた日は、今日はお酒で忘れよう・・・なんてことを思うこともありますが、結局自分の首を絞めていることがあるのです・・・(理由は文章途中に記載)。
日本人は世界的にみても、眠る為に寝酒をする人が30.3%と多いのですが(10ヵ国平均19.4%)(脚注 1)、今回は、健康管理も仕事のうちであるプロドライバーさんに、寝酒と睡眠の質に関して是非知って頂きたい情報をお届けします。
お酒は、眠りに落ちる時間を早める効果がありますが、代償として睡眠途中で目が覚める中途覚醒や、早朝に目が覚める早朝覚醒を引き起こしてしまいます。ですから、「眠れた」「眠った」と自覚していても、寝つきが早いだけで、睡眠の質・量ともに悪い睡眠状態で、結局疲労回復できていない・・・という悪循環を引き起こしてしまいます。(私は疲労回復・憂さ晴らしをしたつもりが、次の日も疲れを引きずって後悔することがたまにあります。)
やはり、睡眠の質を良くする、疲労回復という目的の為には、お酒はNGということです。ただ、“飲み二ケーション”なんて言葉もあるように、お酒が絶対NGということではありません。お酒の場でストレス発散される方もいらっしゃるので、ここでは「お酒はほどほどにしておきましょう」と締めくくりたいと思います。
睡眠を良くする方法は、また次の機会にお話しできればと思います。
飲酒に関しては他にも、飲酒量と睡眠呼吸障害の重症度との関連が報告(脚注 2)されているなど、興味深い研究が多くあります。これは、日本トラック協会に登録されていた20から69歳の1465人を対象とした研究ですので、事例として、みなさん内容を参考にしやすいかもしれません。
飲酒や睡眠のことだけでなくとも、業界全体として健康意識を高めるためには、事業者の方、プロドライバーの方全員が、常日頃から、健康情報にアンテナを張っておくことが、大きな一歩に繋がると思います。
点呼や、講習会、(そして飲み会?!)などの際に、コミュニケーションの1つとしてこのような情報を活用してみてはいかがでしょうか?
更に飲酒関連の情報が知りたい方は、是非こちらのコラムも:
「熟睡を遠ざける寝酒の悪循環」(外部サイト:タニタ からだカルテ)
参考文献:
1) Soldatos CR, Allaert FA, Ohta T, Dikeos DG. How do individuals sleep around the world? Results from a single-day survey in ten countries. Sleep Med 2005;6:5-13
2) Sakurai S, Cui R, Tanigawa T, Yamagishi K, Iso H .Alcohol consumption before sleep is associated with severity of sleep-disordered breathing among professional Japanese truck drivers. Alcohol Clin Exp Res 2007;31:2053-2058
株式会社タニタ
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