本記事は、2015年11月25日に開催された第1回安全運行サポーター協議会セミナーのパネルディスカッションの部の採録です。

  これまでの内容:
  ・イントロダクション
  ・ワールド自興株式会社の安全と健康への取り組み
  ・コフジ物流株式会社の安全と健康への取り組み

     
    image: title 明日から現場で活かす視点
     

       皆さん、いかがでしたでしょうか。ワールド自興株式会社様コフジ物流株式会社様からご発表いただきました『安全と健康への取り組み』、たくさん参考になる点があったのではないかと思います。ここからは、まずは登壇いただいたパネラーの方々より、いまの発表に対し皆さんを代表してご質問等を頂戴していきたいと思いますが、その前に、いま発表いただいた内容について、他社事例も踏まえ、少し私の方からまとめを差し上げたく思います。

       まずご紹介するのは、北陸地区での取り組みです。『THE 点呼』という名の研修にて、私が講師を担当したのですが、点呼についてやらなければならないことは分かっているのだけれども、点呼簿に何を書いたらよいのか、といった疑問の声があがりました。またそれ以上に、健康に関し、例えばある運送会社さんでは、睡眠時間や食事に関することも細かくコメントを記載しているなど、利用も様々でした。点呼簿一枚に、各々の会社さんでドラマがあり、いいことは、皆で共有しよう、と点呼簿を見せ合いながら学び合いました。また中部地区での取り組みでは、『点呼DEディスカッション』と題し、皆で点呼について3時間語り合い、「自社で発生した問題点」、「思い・こだわり・これから」、また点呼のよい点等について議論しました。記録に残すのが点呼かもしれませんが、それに加え、ドライバーの記憶に残していく、それが安全につながっていくのではなかろうか、と考えています。「もう二度と会えないかもしれない」、そんな気持ちで点呼に取り組もう、というような話も出ました。そして、どんな点呼がよいのか。相手の名前で呼ぶ、指示ではなく相手にあわせ質問をする、前回の点呼時との違いがないかドライバーの方の体調や感情を確認・観察しようという気付きもありました。更に例えば、後方確認ひとつとっても、その方の体調や感情・生活・家族構成といった変化や背景によって、確認の仕方が変わってくるものです。そうした変化を察し、必要に応じて適切な対応を行っていくことが非常に大切です。

       さて、ここで今日お集まりの皆さんに聞いてみたいのですが、この中で、バス・トラックといった輸送会社さん、手を挙げていただけますでしょうか。ありがとうございます。たくさんいらっしゃいますね。では、バス会社さんトラック運送会社さんにお伺いします、皆さんのところでは、ドライバーの安全管理と健康管理、どちらを熱心に取り組まれていらっしゃるでしょうか。「安全管理の方が進んでいるな」という方、手を挙げていただけますでしょうか。では、「健康管理に自信があるぞ」という方、挙手いただけますでしょうか。ありがとうございます。「健康って、皆取り組みたいのだけれども、実際どうやったらいいのだろう」といった距離感で、ドライバーの健康管理について向き合っていらっしゃる方も多いと思います。

       例えば、プロドライバーの方は運動不足なことも多いと思います。プロドライバーのみならず皆さんが公共交通機関を利用して営業される場合と、社有車でお客様のところへ訪問される場合、歩数はどちらが伸びるでしょうか。ドライバーの疲れというのは多くは上半身からです。というのも、運行中というのは歩くことがないために、足腰が弱くなりがちなのです。対策として、先程ご発表いただいたコフジ物流様のフィットネスジムの開放、また本人と共にご家族向けでもある社内報等での腰痛予防のストレッチの案内等は、大変参考になるかと思います。

       また、アルコール検知器を用いた確認については、バス・トラック共通で、始業・終業そして場合によっては中間時と、全ての点呼時で必要となっています。ここで一つ問題提起したいのは、飲み物に対する指導というのは、いろいろとされてきたと思いますし、夏場であれば熱中症対策としてコマメな水分補給などを促されていると思いますが、それでは食生活についてはいかがでしょうか。食べ物に関する指導は、どのようなことを、どれくらいされているでしょうか。時間がない、車を止める場所がない、食べ物にそもそも関心がない、など様々な要因で「早食い」「間食」「ながら食い」が多くなってはいないでしょうか。あんサポ協議会からの活動報告の中でも偏った食事の実態について報告がありました。あるパーキングエリアの食堂で販売されている「ドライバー定食」、大盛りご飯に、どんぶりに入ったとん汁、そして揚げ物に肉が山盛りです。健康的な理想の食事とは程遠いものがあります。

       例えば、社内で管理者の方は、食事についてどんな関心を持ち、指導をされているでしょうか。ドライバーに「おい、しっかり食べているか」、ドライバーは「はい、腹一杯食べています」、で終わっていないでしょうか。睡眠同様、『質を確認』です。「しっかり食べてがんばれよ」から「こういったものを食べよう」へ、「しっかり寝ているか」だけではなく量と質の確認へと、こうした視点を持つだけで、日々の取り組みがまた変わってくるのではないでしょうか。

     
     

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    本記事は、2015年11月25日に開催された第1回安全運行サポーター協議会セミナーのパネルディスカッションの部の採録です。