第1回安全運行サポーター協議会セミナー(2015年11月25日開催)でのパネルディスカッション『輸送事業者様の安全健康への取り組みと今後の期待』では、バス・トラック各々の輸送事業者様より、安全と健康についての取り組み内容についてご発表をいただき、安全と健康が表裏一体であり、安全と健康への取り組みはドライバー自身を守り大事にすることであると改めて確認した後、各分野の専門家を交え輸送事業者皆様と共に今後の現場での取り組みについてのヒント、当会としてサポートできることを探りました。
ご参加者皆様より特に大変高い関心と反響をいただいたパネルディスカッションの部につき、本あんサポWeb上にて、連載しご紹介致します。皆様からのご意見・ご感想等もぜひお寄せいただけますと幸甚です。お待ちしております。
コーディネータ 高柳勝二(株式会社プロデキューブ 代表取締役)
パネリスト 青木正勝(ワールド自興株式会社 代表取締役社長)
堂坂佳延(コフジ物流株式会社 代表取締役社長)
平井隆志(国土交通省 自動車局安全政策課長)
竹村公一(損保ジャパン日本興亜リスクマネジメント株式会社
自動車コンサルティング開発本部 部長)
酒井一博(安全運行サポーター協議会 会長)
日時 | 2015年11月25日(水) |
場所 | 東京海洋大学 品川キャンパス 楽水会館 |
主催 | 公益財団法人労働科学研究所 |
事務局 | 安全運行サポーター協議会 |
後援 | 国土交通省 |
皆さん、こんにちは。ここからは、運送事業者様、バス事業者様、そしてご関係の各界有識者、国土交通省様ほかと、いろいろな立場の皆様と共に、安全と健康につきましてのディスカッションを行いたいと思います。
このセッションの一番の目玉は、バス事業者様、運送事業者様、それぞれによる安全と健康に関する取り組みのご発表です。
運送事業者様・バス事業者様問わず、仕事中に失敗すれば事故につながりかねず、即刑法違反となりかねません。居眠りもそうです。内勤者の方がパソコンを打ちながら、仕事中にウトウトしていても、刑法違反になることはないと思うのですが、トラックドライバーでありましたら、バスドライバーでありましたら、即刑法違反に直結です。そして、大きな車で他者を巻き込み追突したならば、事故というより「事件」扱いで、全国に名前と共に報道されてしまうこともままあります。そうなった折には、運送事業者様・バス事業者様の会社から、誰かが突然いなくなってしまうこともあるわけです。そのときにやっと、安全・事故防止の取り組みに本気になるのは言うまでもありません。しかし、我が身の失敗から学ぶ前に、こうした事故事例があったよ、とか、いろいろな話を交えながら、何かできることがあるのではなかろうかと思うわけです。例えば、こんな考え方はいかがでしょうか。今日は、経営者の方、管理者の方、いろいろな方がご来場と伺っています。経営者の方の考え方、経営理念の中に「安全」は入っていると思うのですが、「健康」は入っているでしょうか。またそれが、管理者を中心に社内ルール・文化となって普段の言葉として表れ、しっかり指示ができているでしょうか。そして実際に道に出られる社員一人ひとりの方々の判断基準・行動にまで咀嚼されているでしょうか。
安全・健康への取り組みについて、全国各地の運送事業者様とよくお話し致します。外へ出て働かれる方とも、せめて一日に一分くらい、安全・健康に関する話をしましょうよ、と申し上げますと、「忙しい」「そんな時間をつくることは難しい」と返されることもあります、確かにそうかもしれません。「なかなか会えない」、そうかもしれません。しかし、何とか一日一分、安全・健康に関して一人ひとりと向き合ってみませんか。例えば「点呼」の場面。点呼は、運送会社様、バス会社様、皆様やっておられることと思います。この点呼の折に、何を行うべきでしょうか。第一に、出勤されたドライバーの方の「体調」と「感情」を確認する、並びに乗車される車両の点検状況の確認をされると思います。ドライバーまたは車両、どちらかの調子が悪くなれば、高い確率で事故を誘引することになると思います。点呼の場面で、ドライバーが出社すればOK、ではなく、何をいかに確認していくのか、そのことをお話しするときに、私は健康診断の様子に例えます。バスのドライバーの皆さん、トラックのドライバーの皆さん、皆共通だと思うのですが、誰も事故を起こしたくはありません、病気になりたくはありません。そのために、いかに安全と健康を実現していくか。本日は、東京のワールド自興株式会社様、大阪のコフジ物流株式会社様にご登壇いただき、安全と健康へのお取り組みについて、ご発表いただきます。