image: コフジ物流の安全と健康への取り組み
 

   本日はこのようなプレゼンテーションの機会をいただき、ありがとうございます。当社は、主に関西・関東間の輸送を得意分野とし、貨物輸送事業を営んでおります。

   現在、安全への取り組みに全力をあげているのですが、実は過去に、そのきっかけとなることがありました。それは重大事故の発生です。2005年、首都高において、重大人身事故を発生させてしまいました。報道でも大きく扱われました。いろいろな面でつらい思い、悲しい思い、また大変なことを起こしたという事実が重くのしかかりました。会社のイメージダウンにもなりました。いまでも鮮明に当時のことを思い出します。大変苦労しましたが、荷主様から励ましの言葉をいただいたりしたことは有り難く、お客様の期待を裏切ってはいけないと、事業を存続していくべく、強い思いで安全への決意を新たにし、「二度と同じ過ちを繰り返さない」と経営陣・ドライバー一丸となり安全第一の社風づくりに邁進しました。

   当社での安全への取り組み内容についてですが、まず毎月開催している全員参加の安全会議の内容を改善・工夫しています。参加率100%の徹底、ドライブレコーダーを活用した効果的な研修、複数講師による安全講習や品質向上のための講習などを行っています。新入社員については、入社から単独乗務までの教育課程を見直し、社員一人ひとりの技術向上に力を入れています。
特にドライブレコーダーの活用には力を入れています。2007年に全車に業務用ドライブレコーダーを導入し、事故やヒヤリハットの映像があれば点呼時等リアルタイムに指導しています。

   毎月の安全会議では必ずドライブレコーダー映像を使用し、再発防止策を指導、グループ討議等を行わせ、安全への意識向上、運転技術向上を目指しています。継続することが成功の秘訣と考え、現在も創意工夫を行い、運用しています。ドライブレコーダーの常時録画機能をフルに活用し、眠気による蛇行運転や、休憩の取り方等も確認し、程度によって指導書の発行も行っています。また、模範となる運転も積極的に紹介し、安全運転技術の共有化を図っています。事故惹起者やヒヤリハットの多いドライバーに対しては、個別に指導を行い、未然の事故防止に力を入れています。

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   安全・品質・環境の意識向上を図るためにドライバー評価を導入し、洗車状況や挨拶・身だしなみ、エコドライブ等の項目クリアに応じて手当を支給しています。やったことが評価につながる、各自が自ら取り組む姿勢を後押ししていく仕組みとして導入しました。

   そして、安全会議では、外部講師による実戦練習も行います。挨拶・身だしなみを基本とし、マナーアップを図ります。物を運ぶだけではなく、お客様から選ばれる運送会社を目指しています。社内で大きな声で挨拶を行う練習もします。おそらくお客様の所では、半分くらいの大きさになるのではないかと、練習の折には出来るだけ大きな声で挨拶が出来るように訓練しています。ドライバーの健康状態も、挨拶ひとつである程度推測できます。普段の挨拶との変化を観察し、判断材料の一つとしています。

   トラックは走る広告塔でもあり、常に綺麗に洗車された状態で運行することが大事ですが、さらに大事なことは、荷主様の代理人として配送先様へ荷物をお届けする、コフジ物流の代表としてお荷物を預かるという意識です。

   そして「仕事の相棒」を、いかに大切に使用できるか。車両が汚い、整理整頓が出来ていないドライバーは事故を起こしやすい傾向にあります。まずはドライバーの根幹である、免許証とトラックを大事にすることを徹底させています。

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   安全の基本は足元からと、管理者は構内の清掃や車両のチェックを欠かしません。構内の乱れは事故のもと、ましてや、清掃や車輪止めなど、自社構内で実行できなければ、到底お客様の構内で実行できないと考えます。

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   まずは自分の足元から身だしなみを整えることから、指導しています。車両の清掃及び整理整頓も基本です。「道具を大切にできなければ、トラックも大切にできない」、そうした乱れは事故が起きやすい状況と言えます。洗車場を常に整理整頓し、道具の大切さも教えていきます。

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   安全の基本は、足元から乱れをなくしていくことだと考えています。そして安全への取り組みの合言葉は「自分を大切に!」です。自分と家族の笑顔を守るための安全対策であることを従業員が理解し、胸に落ち、実践できるまで続けていきます。

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   安全を考える上で必ず連動しているのが健康です。心身ともに健康である土台があってこそ、安全が生まれると考えます。社内にフィットネス施設を設け、社員が自由に使用できる環境を作り、無料開放しています。

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   インフルエンザについては、過去に病院での接種時に集団感染となった苦い経験があり、大変な思いをしました。それ以来、インフルエンザの予防接種は、産業医を当社へ招いて社内で実施するようにし、基本的に全員接種としています。また、ご家族を含め、安価に接種できるよう費用負担も行っています。

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   次に、皆さんご存知の睡眠時無呼吸症候群(SAS)についてですが、SASが話題になり始めた頃、「非常に怖いことだなぁ」と思い、全社員に簡易検査を受けさせました。

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   そして、疑いのある従業員には精密検査を受けさせ、結果を精査したところ、衝撃の事実が判明しました。それは、過去に起きた重大事故惹起者2名がSASだったことです。

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   このことをきっかけに、現在では当たり前のようになったSAS検査を、早期から定期的に取り入れています。全社員に対し簡易検査の実施、要治療者には完治までの治療を、また治療困難な方には適切な配置転換等を行い、継続して就業いただけるよう努力しています。

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   具体的には、まずは簡易検査を行い、異常があれば精密検査を、そして精密検査にてSASと診断された場合には、食事や運動で体質改善を行いながら、CPAP(シーパップ)による治療を行い、治療が完治すれば元の仕事に復帰、治療が困難な場合には適切な配置転換を行っています。

   費用面では、簡易検査5000円、精密検査(1泊2日)18000円、CPAP治療5000円/月で、従業員の負担を少なくするために簡易検査については会社で負担し、1泊2日の精密検査については就業扱いとして日当を支給しています。

   SASによる配置転換のみならず、運送業は高齢になれば体力的にも継続して就業することが難しくなる職業でもあります。創意工夫をし、コフジ物流で定年まで、また定年後も嘱託社員として就業いただくことを目標としており、現在もたくさんの高齢者の方々に就業いただいています。

 
 

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本記事は、2015年11月25日に開催された第1回安全運行サポーター協議会セミナーのパネルディスカッションの部の採録です。